1月30日 THE GROOVERS “TOSHIAKE BLUES SHOW 2016” at 吉祥寺 ROCK JOINT GB

 さて、個人的に範囲外となりつつあったTHE GROOVERSのニューアルバムを何気なく聴いたところ、これがもうギャアと驚く大傑作で、結果2015年の私的ベストアルバムに決定してしまうという事態が起きたのが去年の年末、となればもう年明け早々(でもない)に行われるワンマンライブにはそりゃ行くしかないよね、ということで久々の吉祥寺に赴きました。

 なにしろ、前回THE GROOVERSを見たのはラママでnoodlesとやった対バンライブ、その前となると下北沢shelterで久々にやった記念ライブになるので今回まあ久しぶり(笑)。ま、THE GROOVERSのライブはいつも素晴らしい(ならもっと行っとけという話ですが)ので不安はないものの、アルバムのデキとどの程度呼応しているかは気になるところ。

 場所は吉祥寺のROCK JOINT GB。最近、THE GROOVERSはこのハコを使うことが増えてきてるみたいすね。開演ギリギリに場内に入るとすでに満員状態。いつもだと会場中央あたりに陣取るんですが、とてもそんな所に行ける気がしない(笑)。ということでほぼ最後列に移動し開演を待つ。しかし、ベテランのアーティスト(いや若手でも一緒か)ってイベントだとそれなりの客入りなのにワンマンは人が入るよねえ。ベテランのアーティストのファンってまあそれなりにベテランなので(笑)、好奇心的にも体力的にもイベントはツライって話はよく聞きますが、個人的にはイベントの方が好きなのでこの辺いつもふーん、、、となったりする。

 どうでもいい話はおいといて、いよいよ開演。なんだか長州小力チックなヤスチカ、相変わらずのBOBさん、ロックンローラーとして存在感ありまくりの藤井さん、いやなんか久しぶりすぎて懐かしささえ感じる(笑)。
 最初のうちは音自体はちょっと控えめというか少し鳴りが悪かったように思いますが、それでも初っぱなから切れ味の鋭い音がバシッと響くのはさすがTHE GROOVERS(後半は音の鳴りも解消されました)。

 THE GROOVERSは個々のメンバーの力量もすごいんだけど、この3人が一緒にやった時のアンサンブルというか三位一体となったグルーヴがとにかく格別。
 バンドのメインはもちろん藤井さんのギターにあるわけですが、実のところTHE GROOVERSをTHE GROOVERSたらしめているのはヤスチカのドラムとBOBさんのベースであるというのが昔からの個人的意見。

 まずはヤスチカのドラム。ストレートなエイトビート系のドラムとは異なり、やや後ノリで大きなうねり(グルーヴ)を伴うビートがヤスチカのドラムの特徴だと思うんですが、とにかくこのビートが心地いい。そしてギターソロやサビでここぞとばかり繰り出されるフィルイン。個人的にはこれがすっごいツボで、単なるギターバンドにはないある意味大陸的なスケール感を作り出してると思う。

 そしてBOBさんのベース。4人時代のTHE GROOVERSのリズムの最大のキモはBOBさんのレゲエ的ビートにあって、これがタテノリ全盛の時代にヨコノリのバンドと評価された所以だと思うんですが、その頃に比べるとBOBさんのベースは比較的ストレートなビートになってきてる気がする。これは今のTHE GROOVERSの今の音楽性に合わせた結果だと思うんですが、おもしろいことにこのBOBさんのベースが軽やかさを生み出し、THE GROOVERSのビートをロックバンドにありがちな暑苦しさから開放している。まあそんなことよりBOBさんの笑顔がTHE GROOVERSの顔だよね(笑)。この日も藤井さんのアドリブにニコニコしてるBOBさん最高としか。

 で、藤井さんのギター。4人時代、藤井さんの若さにまかせてかきむしるコードストロークは日本で一番すげえ!と思ってた。3人時代、藤井さんのロッケンローなギターカッティングは日本で一番すげえ!と思ってた。その後いろんな人のギターを聴いて一番すげえ!はちょいと言い過ぎかと思いはしたものの(笑)、ロックギターのツボを押しまくりかゆいところに手が届きまくるそのギターはやっぱメチャクチャかっこいい。

 この3人の猛者がステージにたち、鼻歌まじりで何気なく演奏を開始する。初めはロックンロールの定番ともいえる小気味よく切れ味鋭いリフやビートが立ち上がる。でもそのうちにそれは軽やかで大きなうねりへと変化し、やがてフィードバックノイズ混じりの轟音ギターとスケール感たっぷりのドラミング、その根底にながれるぶっといベースが場内を支配する。これがTHE GROOVERSの最大の魅力で、とにかくこの凄まじい音を全身に浴びる快感は何ものにも代えがたい。

 この日のライブも、前半で軽やかなグルーヴやしびれるくらいにかっこいいカッティング主体のロックギターの魅力を披露し、中盤ではPERFECT DAYを端緒とした畳みかけるようなロックンロールの疾走感を、そして後半はUNDER THE FOGGY MOONに特徴的な情感たっぷりのドラマティックな演奏で締める。もうこれをすげえと言わずして何をすげえと言えばいいのか。

 一時期、藤井さんのギターのロック的なクリシェやロックギターかくあるべし!な力みがちょっと気になった時期もあったんだけど、今回のライブではそのいずれもがピタッと収まるところに収まり、心地よくこちらに届いた。デヴィッド・ボウイを初めとしていくつのロックナンバーのフレーズを曲間に挟み込む展開も昔からの定番ながら心地よく、ニヤリとさせてくれる。
 今回この辺が気にならなかったのは、演奏が変化したのかこちらの心境の変化なのかよく分かりませんが(笑)、とにかく、これだよ!と、おもしろいように展開されていくパフォーマンスがほんとに素晴らしくて、過去に見たライブの(多分美化された(笑))思い出がいくつもよみがえり、ちょっとじわりときてしまった(笑)。

 全体の構成が明確だったのもよかった。以前はありがちだった、疾走感のあるロックンロールでノリかけたのにテンポを落とした曲ですぐに小休止、みたいなありゃりゃな展開がなく、全体にメリハリのある素晴らしいセットリストだったように思う。

 あと、最近のライブを見てないので迂闊な話はできませんが、ニューアルバムからの曲を主体とし、以前はド定番だったSWEETHEART OF MY SOULあたりをやらなかったにも関わらず「あの曲がなかった」「あれもやってほしかった」的な心残りが全然なく、2回のアンコールを含めて「ライブを見た!」という心からの満足感に浸れたってのはほんとすごいこと。

 ロックンロール(ロック)が大好きなロック小僧と、そこに共感、共鳴した者達が長年の年月をかけて磨きに磨きをかけて築き上げた強靱なるバンド、それこそがTHE GROOVERSであり、それはBPM高めの直線的なロックンロールバンドでもなく、情感あふれるギターバンドでもなく、ひねりまくったソウルバンドでもなく、轟音まっしぐらのラウドロックバンドでもなく、でもそのどれでもあるという、色分けのはっきりした邦楽界においては何かと座りの悪いバンドではありますが、ニューアルバムと今回のライブを見るに、その多様性と存在感はこれまでになく増しつつも、どのフィールドをも軽やかに飛び回れそうな、いい意味でのフットワークの軽さやある種のポップ感というか普遍性を手に入れたような感じがして、これはスゴいことになるんじゃないの?という期待がむくむくとアタマをよぎり、大昔、メジャーデビュー時に新宿LOFTと下北沢SHELTERで1日2回まわしのリリースイベントがあった時並みにワクワクしてます(笑)。

 もういろいろ素晴らしくて、現場から遠ざかっていたことを心から後悔するレベル。まあでも未来はこれからだ!